2012年3月10日、私は山下中学卒業式の撮影の為、宮城県山元町を訪れていました。
翌日の震災一周忌にあたる3月11日をこの町で過ごし、遺族の方たちと共に震災で犠牲になられた方々への追悼を捧げたいという思いもあり、この日は、いつもお世話になっているきみよおばあちゃんのお宅に宿泊させて頂くことになっておりました。
卒業式終了後、きみよさん宅へお伺いする夕方までの間、私は、山元町内の仮設住宅でコミュニティカフェ活動をされる十河さんたちと合流し、集会所に集まって来た子供たちと遊んでおりました。
この日は、雪が降り足下が悪いということもあり、通常よりも人の集まりが良くないということもあったようなのですが、お手伝いの小学生の子供たちは開始時間前から続々と集まり、家から出て集会所までの道のりを歩くのが困難なお年寄りのお宅まで、コーヒーを運ぶ案内やお手伝いをするという活躍ぶりには、感心させられます。
コミュニティカフェ活動とは、コーヒを配るというだけの目的ではなく、仮設住宅暮らしで孤独を感じているお年寄りなどに、外に出て近所の方たちとお話しする機会を提供するという目的で行われており、また、この活動をそれぞれの仮設住宅地内に住民の方たちの手に因って形成させて行く事を目的としており、毎月継続的に行われているのです。
こういった子供たちのようなお手伝いさんの存在は、コミュニティカフェ活動における一つの成果でもあるのでしょう。
コミュニティカフェ活動とは、コーヒを配るというだけの目的ではなく、仮設住宅暮らしで孤独を感じているお年寄りなどに、外に出て近所の方たちとお話しする機会を提供するという目的で行われており、また、この活動をそれぞれの仮設住宅地内に住民の方たちの手に因って形成させて行く事を目的としており、毎月継続的に行われているのです。
こういった子供たちのようなお手伝いさんの存在は、コミュニティカフェ活動における一つの成果でもあるのでしょう。
十河さんたちとは、以前「始まりの写真」プロジェクトの撮影イベントでご一緒させて頂いて以来のお付き合いなのですが、この日は、「コーヒー飲みながら皆さんとおしゃべりしよう」、と心に決めていたので、コーヒーマスターの広瀬さんが淹れてくれたコーヒーを頂きながらゆっくりとしていたのです。
☆
「みんなでパーティーにでかけるところなんだよ。」
私に声をかけて来てくれたのは、パーカーのフードかぶったまま一人子供用のテーブルにてクッキーをかじっていた少年でした。
突然一言だけ声をかけられた事への戸惑いと共に、それまでその少年がひとり遊びしていたその光景とその少年が発した言葉から、私は、なにか乾いたクッキーの舌触りのような、甘くざらついた違和感を感じていました。
「へー、そうなんだ。」
私は即座に相づちを打ってはみたものの、少年のイマジネーションの中で擬人化された指人形たちは、競うように列車の前方に乗り込んで、「いったいこの列車はどのパーティー会場へ向かっているのだろう、、、」その事ばかりが気になってしまっていたのです。
少年にカメラを向けると、
「な〜んだ、写真を撮るのかぁ。」
少年はそのままクッキーをかじり続け、私は心の中でつぶやきながらシャッターを押すのです。
「君の願いはきっとかなうよ。」
☆☆
カフェにも序所に人が集まり始めて、お一人でいらした方で互いにコミュニケーションがとりにくそうにしている方を交えて、十河さんが、「トランプでババ抜きしよう」という提案をし、少年たちが集まってきました。
ゲームをすることには、大人子供問わず、競争心が芽生えて、勝つ喜びと負ける悔しさとの心的葛藤が場を和ませる効果があるようです。見ていて皆の気持ちが暖と共にほぐれて行くのを感じます。
通常の大人には、トランプで負ける程度の悔しさを押さえる自制心は備わっているものですが、子供たちにはまだ難しいことでもあります。負けたくない一心でズルもするし、そのことが原因でけんかになったりもする。
グルになって、ババを引かせようと企んでみたり、ルールはあってないようなものだ。
でもよく考えてみると、人の行いに大人も子供もそう違いはないようにも思うのです。
結局、負けるのって悔しいんですから。
☆☆☆
争いの後には必ず平穏があり、子供たちの行動は世の常を映している。
諸行無常。
ただ、少年たちは、平穏な時にも静かなる争いを繰り広げているものなのです。
男の子は競う事が、自己表現方法の一つなのです。
そこで、中年の男の子でもある私は、
「カメラで写真撮ってみたい。」
という男の子にカメラを預け、将棋クラブでナンバーワンだという少年と一局交えることとなりました。
勝負は真剣そのもの。
「ん?なかなか強いぞ。この少年。」
旅の移動中に没頭している、iPhoneにインストールされた将棋アプリで日々戦法を鍛え抜いた私が、三度とも少年を打ち負かしてしまうという、全く大人げない結果となる訳ですが、少年の方から、
「久しぶりに強い相手とできて楽しかったよ。またやろう!」
と握手をして再会を誓うのでありました。
☆☆☆☆
以下の5枚の写真は、私が、将棋をしている横で、私の一眼レフを預かってくれたこの少年によって、仮設集会所の窓越しに撮影された写真。
私は、これらの写真を目にして少年のまっすぐな視点が写真に映し出されていたことに驚愕させられています。それは、今、ここにある、少年の心の風景であり、仮設住宅の少年たちの夢や願いを反射的にこの写真は物語っているように感じられるからなのです。
これらの写真が撮影された、いつも少年たちが遊んでいる集会所のおもちゃのある部屋の窓からの眺めは、彼らの日常の風景でもあり、閉じ込められた世界から眺める彼らの夢と希望を願う窓からの景色でもあるのです。
これらの写真の中で、この仮設住宅に続く道には、車が来ては去って行きます。車が去って行く道の先には、仮設ではない住宅が建っており、そこにも数台の車が停まっています。山側の細い道には、この仮設住宅暮らしの方と思われる人が傘をさして歩いているのが見えます。
このなんの変哲もないようなこのいくつかの瞬間から、私が、この写真を撮影した少年の撮影意図を感じさせられているのは、被災という現実により仮設住宅で暮らす少年が捉えようとした光のように私には見えているからなのです。
☆☆☆☆☆
少年たちよ、大志を抱こうぜ!
カメラマン同士。
みんなで撮影して遊びました。
男の子はカメラが好きなんです。
「今週のベストショット!」
「始まりの写真」プロジェクトでは、インターネット上に写真を保存することによって、
いつでも皆様の写真を取り出せるという状態を目指して参ります。
不都合のある方は、お申し出下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿